2018年7月前半の読了本リスト

7月前半は、割と多様性に富んだラインナップでございました。

『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』 橘玲
『アウトライン・プロセッシングLIFE』 Tak.
『血界戦線 ペーパームーン』  秋田禎信
『世界史を大きく動かした植物』 稲垣栄洋
『宝石 欲望と錯覚の世界史』  エイジャー・レイデン

 

著者買いの1冊。タイトルはマーケティング戦略(と朝日新聞出版の自戒?)も含めて、センセーショナルにつけられておりますが、いつもの著者の本と同じく、とても明確で冷静な論理でつづられた本です。
サブタイトルまでが本書の内容を表しています。日本で「朝日ぎらい」という現象が起こっている理由を、日本におけるリベラルの歴史をひもとき位置づけを明らかにしています。それから、欧米でリベラルがグローバリズムと結びついてどのように進化しているかを説明しています。

正直言って政治にはあまり明るくなく、右派・左派の区別がよくわかっておりませんでした。誰がそう言われているのかは、新聞ほかメディアでわかるものの、どの特徴を捉えて右・左、リベラルと呼ばれているのか、支持者層はどのような層なのかがよくわからなかったのです。本書は、私のような「よくわかっていない」者に対して、論理的に説明をしてくれます。そしてさらに「ネット右翼」などまさに今台頭してきている層とそれらの結びつきについてもわかりやすく説明をしてくれました。
ただ、本書が本当に正しいのかについては、他著者などを見て自分で検証していかなければならないところなのでしょうが…。ひとまずは「なんか明確な説明もないし、よくわからない」から「本書の論理だとこうなっているけど、本当にそうなのかな」というところまではレベルアップできました。

 

アウトライナーの第一人者である著者の、2冊目のアウトライナー本。
アウトライナーを生活に役立てていく具体例とか、著者はなにをどう考え、どんなことについてアウトライナーを使っているのかという話です。技術論の範疇には収まらない、だけれども実際にアウトライナーを使い出すと気になることについて、第一人者である著者はどうしているのかをちょっとお話をお伺いしてきた、そんな感じの読了感でした。
すごく「それそれ!」と思ったのが、

ーせっかく検討したカテゴリーを消してしまうのは、「考える」アウトラインと「使う」アウトラインは違うからです。 実際の生活の中でDOを整理するときに、適切なカテゴリーを探すことが負担になることが経験的にわかっているからです。階層はできるだけ深くしない方が自由度が上がりますー

というところです。頭出しをして考える時点では、なるべく細かく区分けをしておくと、漏れダブりのないMECEな考えに近づけるんですが、実際になにかやる段になると、階層が深すぎると逆にうっとおしく感じる。それは私にも覚えがあったのでちょっと興奮しました。

 

コミックスの血界戦線を読んでいるので、その流れで購入しました。小説版著者の秋田禎信さんの著作は、とても昔に「魔術師オーフェン」シリーズを読んで以来でした。
主人公は表紙の通りザップ。コミックスのキャラクターとか雰囲気が見事に小説になっていますので、コミックスが好きな方にはおすすめですねー。

 

コメ、コムギ、トウモロコシ、ジャガイモ、トマト…。日本でならほとんどの人が知っているし普段なにげなく食べている植物は、どんな歴史を持っているのか。人間がよく知っており食べている植物は、人類史に大きく影響を与えてきた植物でもあった。
そんな壮大な植物たちのエピソードを、平易で軽快につづっている本です。時期が時期だけに夏休みに1冊おすすめしたくなるような本。個人的には、アメリカの食事になにかというとポテトが出てくる理由がわかったような気がしました(少し閉口したので…)。
人間は穀物(小麦)によってうまく自分たちの種を繁栄させてきたと思っているけれど、それは花粉を運ばされているミツバチと何が違うのだろうか。農業を始めたことで、人間は農業をやめて狩猟採集生活に戻ることができなくなってしまった。このあたりは『サピエンス全史』でもありましたね。

 

宝石がいかに欲望と錯覚によって価値を付与されてきたかがわかる本です。
ダイヤモンド、エメラルド、真珠…様々な宝石を人類はどこで見つけ、どのように収集し、どのように価値があると吹聴し、価値あるものとして見せびらかしたのか。
宝石の価値とは欲望と錯覚であるという冷静な姿勢をもとに、歴史をひもとき、欲望と錯覚部分を明らかにしていきます。宝石の歴史がつづられているので面白かったですね。
歴史上、希少で貴重だった宝石が従来よりもより多く手に入るようになる(新しい鉱山が見つかる、養殖が可能になる)際に、いかにその宝石の価値を落とさないか、ということに宝石を売る側は労力を注ぎ込んだか、そしてデビアスやミキモトは見事にそれに成功してきたかがわかる、皮肉たっぷりの本でもあります。

2018年7月後半の読了本リスト

従来の1ヶ月分の読了本リストから、半月分の読了本リストの記事作成に変更してみました。

『やってはいけないデザイン』 平本久美子
『未来の年表2  人口減少日本であなたに起きること』 河合雅司
『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』  若林理砂
『天駆せよ、法勝寺』 八島游舷

 

名刺、スライド(パワーポイント)、チラシを作る際の、初歩的なデザイン上の注意点がわかります。もともと著者が行っていたチラシ作成の市民講座の講義内容が元になっていますので、デザインの知識がほとんどない私でもわかりやすい内容でした
いつもではありませんが、スライドを作る機会が仕事上ときどきありましたが、そのとき本書の知識があったらよかったなぁ…、と思いました。
フルカラーでわかりやすく短時間でさっくりと読めますので、見やすいスライド作成のお供におすすめです。

ベストセラー続編です。1は人口減少の全体感の説明、政府・企業としての対処法、2は人口減少により、個人の身の回りには何が起こるのか、どう対処すればよいのかを具体的に書いています。人口減少問題自体は多少知識があるので、本書(続編)を読んでみることにしました。
「個人の身の回りに、どんな問題が起こるか」はわかりやすく納得できたのですが、本書で提示されている「問題への解決方法」は違和感を覚えるものがかなりありました。
著者は人口減少(と政策的な解決方法)については専門家だと思いますが、日本国民個人の具体的な生活の専門家ではないので、致し方ないとは思います。
対処法は提案のひとつとして割り切って読みつつ、問題への対処方法はやはり読者個々人で考えていくことが必要そうです。

著者買いの1冊。
本書の要点は「健康管理のためには、規則正しく十分な睡眠を取り、規則正しくバランスのよい食事を取り、毎日ある程度身体を動かすこと」これにつきます。
ではなぜ本1冊の文章が必要なのか。それは、基本だけれどもこれができていない人が多い(もちろん私もその一人)だからです…。
なぜ「寝る・食う・動く」を整えることが健康につながるのか、具体的にどうやってこれらを身につけていけばいいのか。それを丁寧にかみくだいて説明指導してくれる本ですね。
「寝る・食う・動く」ってつくづく健康でいるための基本であり奥義なんだと感じました。

仏教SFいいですね。冒頭の法勝寺の描写ですでにぐいぐい引き込まれました。
ー「佛理学(ぶつりがく)。それは、万物を構成する佛質(ぶっしつ)と佛精(エネルギー)を相互転換する手法を研究する学術分野である。佛のおしえの七割は佛理学として理論化され、再構築された」ー
これでもうこの世界は有りだ、という気がしてきてしまうので不思議です。
著者によると、キリスト教のディテールを取り込んだ小説はたくさんある(『ダヴィンチ・コード』など)のに、仏教のディテールを取り込むことに挑戦したということです。フィクションの舞台装置として既存宗教をうまく使うって、中二病が発症しそうなわくわく感があります。

2018年3月の読了本リスト

3月はそこそこ読めましたね(小説は4冊で1冊分とか言わないでください)。
ちょっと内容軽めなものが多かったかな。

『アグリビジネス進化論』 有限責任監査法人トーマツ・農林水産業ビジネス推進室
『セレンゲティ・ルール ――生命はいかに調節されるか』 ショーン・B.キャロル
『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』 高井浩章
『フランス人は10着しか服を持たない』 ジェニファー・L・スコット
『目の前の仕事に集中するためのAppleWatch』 佐々木正悟
『GoodLifeProject人生を満たす3つのバケツ』  ジョナサン・フィールズ
『SHOE DOG(シュードッグ)』 フィル・ナイト
『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一』 夢枕獏
『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二』 夢枕獏
『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三』 夢枕獏
『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ四』 夢枕獏

 

 

 

  

 

啓発書ですね。私の場合、つい読んでしまう種類の本(2種類目)です。
「1つ目目のバケツは、バイタリティーで、心と身体の状態を表している。
2つ目のバケツは、コネクション(人間関係)を表している。
3つ目のバケツは、コントリビューション(社会への貢献)を表している。
これらのバケツの中身が多ければ多いほど、豊かな人生になる。
3つのバケツすべての中身が満ちあふれていれば、素晴らしい人生になる。
それこそが私たちが追い求めているものだ。」
本書の主張はこれに尽きます。そしてあとは具体的な取り組み方法の紹介です。
心身ともに健康で、人間関係に恵まれ、社会に貢献している、というのは人間が幸福を感じる条件にも近しいものを感じます(経済学における幸福度合いを「測定」する様々な実験などを踏まえて)
平均的、もしくは最頻値的な人生の考え方としては悪くないと思います。しかしすべてのひとがこれに当てはまるわけでありません。今後も啓発書の服用は自制を以て行って参りたいです。

 

ナイキ創業者の自伝です。事実は小説より奇なり、のノンフィクションストーリーですね。文体は素っ気ないですが、なにせ起こっている事実がいちいち興味深い。
新聞書評や広告では大絶賛・必読といったような文言も見かけましたが、本書はなにかしら教訓を得るような啓発書ではありません。ナイキ、あるいは1960~90年代くらいのアメリカ(日本もだいぶ出てきます)の製造小売の空気感に興味があるひと向けにおすすめする本です。

 

基本的には同著者の「陰陽師」シリーズと非常に似た世界観・文体なので、「陰陽師」がお好きな方にはぜひおすすめです。ちょっと長めではありますが、4冊そろえて一気読みするととっても幸せでした。

本書内では空海がなんでも出来る完全無欠なキャラクター(今風にいうなら何でもできるチートキャラ、といったところでしょうか)で描かれていますが、これは史実に概ね沿っているうえ、司馬遼太郎も同じように描いております(『空海の風景』 ご参照)。歴史小説内のパブリックイメージといってよさそうです。

映画は結局観に行けていないのですが、DVDとか配信で観ようと考えています。
なにせ「陰陽師」の映画もなかなかよかったので、日中合作かつかなりのスターキャストをそろえている本作も期待したいのです。そうそう、「陰陽師」の映画といえば安倍晴明を演じたのは野村萬斎さんで、それがもうこの人以外には考えられない、というくらいにぴったりな訳です。「陰陽師」の音楽はフィギュアスケート羽生結弦選手のフリープログラム(Seimei)に使われていたため、平昌オリンピック絡みでもたくさん耳にしましたね。

新しいタイプの経営者の自伝 『シュードッグ』、『行こう、どこにもなかった方法で』

ビジネス書ではない小説的な経営者の自叙伝。アメリカ版がシュードッグ(ナイキ創業者)、日本版が「行こう、どこにもなかった方法で」(バルミューダ創業者)による本です。
出版上特に関連性はないであろうこの2冊。でもこの2冊を読んで、経営者自叙伝の分野で「小説のように書く」という変化が出てきているのかな、と感じました。

会社の経営層の著名人が書く本については、自身の体験をつづりつつその体験の解釈(私はこうしたから成功した、失敗した)がつけられているものが多いという印象があります(それほど経営者著書を読んでいない個人の印象です)。
それに反してこの2冊は、読んでもビジネスで成功するコツなんかはたぶんわかりません。「あのとき何があったか」のような分かりやすい起承転結やストーリー的な構成がされているわけでもないでしょう。特に「行こう」は著者の父母の話から生い立ちの話にもかなりの紙面が割かれていたりします。

ただその分、この2冊は著者の実感・体験により近いのではないでしょうか。
1人の成功例から教訓を引き出そうとすることには無理があるのだし、会社を作って起こったできごとはいろいろあるけれども、体験した本人のなかでストーリーとして完結しているわけでもない(2人ともまだ現役の経営者ですから)。なにか一般的なことがいえるとしたら、ふたりともつくっているモノについてはずっと確固たる信念があったことくらいでしょうか。
体験の解釈抜きで、淡々と体験をつづっている本。それはそれでよいものだな、と感じました。解釈部分に感じる押しつけがましさがないし、著名経営者がしてきている体験は事実だけでもいろいろと面白いので、本の内容は充実します。

2冊通して読んで印象に残ったことはふたつ。
経営者の悩みになるのは商品をつくることそのものではなく、資金調達であるということ(ふたりともずっとキャッシュの調達に疲れているのが伝わります…)。
それと、成功の裏には数多くの失敗が隠れていて、有名になるひとは紙一重でなんとか成功してきていたのだなということです。特に成功と失敗は、最初から上手くいったわけでもないし、ずっと上手くいき続けているわけでもなんでもないというのがひしひしと感じられました。

2018年2月の読了本リスト

はい、今月は少なかったですね。わりと柔らかめの本のラインナップです。
(ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム は読みやすいけどページ数は多かったですけど)

『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議 』ブング・ジャム
『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 』 赤野工作
『行こう、どこにもなかった方法で』 寺尾玄
『あなたのチームがうまくいかないのは「無意識」の思いこみのせいです』 守屋智敬
『されど愛しきお妻様』 鈴木大介

 

この10年を振り返ることで文房具がどう変わってきたかの概観を語っている、という内容そのものが面白かったです。
個別の文房具の特集本だと、あくまでその時点での最新製品を紹介する内容になります。それを歴史として総括してくれるというのはなかなかないと思われます。個人的にはAJ(アフター ジェットストリーム)という概念がすごく面白かったですね。あと、文房具を自前で調達するというのがリーマンショックから来ている(会社で経費削減が進み個人での文房具自前調達が進んだ)というのも、なかなかに興味深い。

 

初出は小説投稿サイト「カクヨム」ですね。同様の経緯で書籍化された「横浜駅SF」が結構おもしろかったので手に取りました。
未来からみたレトロゲームレビューなので、レトロといってもそれは現在の私たちにとっては未来。かと思いきや00年代や90年代のビデオゲームへの言及もあったり。
まさにSFのうまい設定が盛りだくさんで紹介されるお話でした。AI、サイバネ化、ネットワークとまさに未来の技術が籠められたゲームが発売されたとき、そのゲームに当時のゲーマー達はどう反応したのか、社会にはどんな影響が出たのか。それらがゲームへの惜しみない愛と鋭い観察眼を以て語られています。
うーん、なんだか上手くこの小説(?)のよさを語り切れていないですね…。とにかく、SF好きで特定のキャラクター描写がなくてもそれほど気にならない、というかたはぜひ。とにかくアイデアやそのSF的な掘り下げが抜群に面白いです。

 

 

 

二人の出会いと生活、そしてお妻様の脳腫瘍と著者の脳梗塞。著者は自分の脳梗塞時の症状と高次脳機能障害を通じて、お妻様の発達障害への「障害を持つ当事者としての実感」を得ることになる。そしてその後になんとか二人で生きていくため、発達障害の妻と高次脳機能障害の自分とで、上手く生活を回していくかにふたりで取り組む…というお話。
著者は「最貧困女子」や「振り込め犯罪結社」など社会のいわゆる下層のひとびとへのルポを書いてきています。医者ではなく、患者側の立場から、社会からこぼれてしまうひとたちに取材してきた経験を通してかかれた本書は、障害を扱う本のなかでも異色。しかしそれがゆえに一般読者にはとても有効だと思うのです。
『「家庭内の障害受容」の話でもありますが、それ以上に世の中のあらゆる「すれ違い夫婦」に届いて欲しい、どうしたらお互いに優しくなれるのかのメソッドを描いた』(日刊ゲンダイHPの著者ページから)というもの。
発達障害の関係者はまず読むといろいろと見る目が変わる思いができそうです。それと障害が特にない家庭のひとでも、他者にどうしたらお互い優しくなれるか、を知るために是非。

2018年1月の読了本リスト

今月の特徴…小説が少し多いことでしょうか。

『三尋木奈保 My Basic Note2:”きちんと見える” 大人の服の選び方』 三尋木奈保
『競争社会の歩き方 自分の「強み」を見つけるには』 大竹文雄
『藤野さん、「投資」ってなにが面白いんですか?』 藤野英人
『警視庁草子 上・下』 山田風太郎
『症状を知り、病気を探る 病理医ヤンデル先生が「わかりやすく」語る』 市原真
『専業主婦は2億円損をする』 橘玲
『ロード・エルメロイII世の事件簿6 case.アトラスの契約 上・下』 三田誠

 

中央公論新社でも何冊か新書を出してますが、どれも面白いし読みやすいです。いまならやはり一番新しいし、「競争社会」という言葉がとても響く本書がお勧めかな。

 

 

2017年12月の読了本リスト

こっそりと追いつくべく更新して参ります。
今回から少し形式を変えてみました。各書籍の書影の下にひとこと(くらい)のコメントを差し挟んでおります。

『戦う姫、働く少女』 河野真太郎
『関先生の世界一わかりやすい英単語の授業』  関正生
『サバイバル英文読解』 関正生
『サピエンス全史 上』 ユヴァル・ノア・ハラリ
『人生100年時代の らくちん投資』 渋澤健、中野晴啓、藤野英人
『家康、江戸を建てる』 門井慶喜
『歴史・時代小説 縦横無尽の読みくらべガイド』  大矢博子
『アルゴリズムが世界を支配する』 クリストファー・スタイナー
『HARD THINGS』  ベン・ホロウィッツ
『働く人の養生訓 あなたの体と心を軽やかにする習慣』 若林理砂

 

ざっくりと最近のメディア作品における働く女性(社会の中で戦っているともいえる)を論じてます。社会学の語り口なのであまり読みやすくはないのですが、うなづけるところが多かったです。
 

このときちょうど英語を勉強しなおしていたのでこの2冊を読みました
著者はスタディサプリENGLISH(動画)でTOEIC対策講師をしてまして、これがけっこう面白かったので本も読んでみました。特に『サバイバル英文読解』は、大学受験での英語長文の読み方を思い出させる一方、いろいろと目新しいこともあったので面白かったです。

いろいろな方面から大変面白い、との噂を聞いていた本書ですが、いやいや期待通りでありながらそれ以上でもありました。
上下分冊とかなりボリュームがありますが、この手の本としても非常に読みやすい文章なので、まずは少しだけでもいいので読む、という気持ちでいるととっつきやすいかもしれません。。
ホモ・サピエンスの変化は、他の生物のように遺伝子ではなくミーム(人類の文化を進化させる遺伝子以外の遺伝情報)。だからこそ遺伝子ではありえない速度での変化が可能だというのは、納得させられてしまいます。

著者メンバーで選びました。つみたてNisa制度が2018年1月から始まりましたし、投資を考えるまっとうな入門書として良いと思います。一押しはやはりウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 の第14・15章なんですけど。1冊読み通すにはそれなりに気合いが必要なので…。

これは、『江戸を建てる』を読んで、歴史・時代小説に行きたくなって『読みくらべガイド』へという流れでした。
『江戸を建てる』は、建築というより土木です。特に治水。人間も描いているんですが、江戸時代の治水工事・井戸の作り方がかなり詳しかった。こういったインフラ工事はいつの時代でもその時代の最先端の高度な技術が使われているし、その技術は現在にいたっても興味深いものであります。もう少しドラマティックな部分が多いともっと好きかも。。
『読みくらべガイド』は、連載コラムの単行本化ですが、紹介している冊数がすごく多いし、それらをいろんな切り口(時代だけじゃなく、料理とかほんともう様々)から紹介しています。やっぱり愛と知識がたくさんある人がしてくれる紹介ってのは読んでて楽しいですし触発されます。

ウォールストリートをアルゴリズムによるコンピューター取引が席巻するまでにどんな事があったのか、金融危機においてのアルゴリズム取引はどう評価されるのか、今後金融経済以外でどのようにアルゴリズムが活用される可能性が高いのかについて知見が得られます。中身には触れてないので特にプログラムの知識がなくても大丈夫でした。

ベンチャー経営とは、胃が痛くなる場面の連続である、ということが生々しく描き出されています。答えがない難問・困難に著者はどう対処したのか。著者の対応が正解ではないし、かならずしも一般論にはなるわけではない。でもとかく成功にばかりスポットライトが当てられやすいところ、貴重な実例を惜しげも無く披露している本です。
ベンチャー経営に関わったり、実態を知りたいと思うならぜひ押さえたい1冊かな。

この著者の本(とメルマガ)読んでいるので、最新刊を購入。著者は東洋医学の先生で、いろ著作もたくさんあります。いつも言うことが一環しているので、著作も同じ内容をどういう観点でまとめたものか、という違いになりますかね。

2017年11月の読了本リスト

今月もやはりジャンルに統一性のないラインナップでした。
読みたい本が常に積み上がっているので、硬軟織り交ぜて読むことになるんですよね。硬いばかりだと疲れる、軟らかいばかりでもそれなりに飽きる…。

『HARD THINGS』ベン・ホロウィッツ
『働く人の養生訓 あなたの体と心を軽やかにする習慣』若林理砂
『ウニはすごい バッタもすごい – デザインの生物学』 本川達雄
『怖い絵 死と乙女篇』 中野京子
『2週間で人生を取り戻す! 勝間式汚部屋脱出プログラム』 勝間和代
『ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250』 堀正岳
『経済学者 日本の最貧困地域に挑む―あいりん改革 3年8カ月の全記録』
鈴木亘
『ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常』 藤田結子
『ストーリーとしての競争戦略』 楠木建
『ユニクロ9割で超速おしゃれ』 大山旬
『異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』
エリン・メイヤー
『地球の法則と選ぶべき未来 ドネラ・メドウズ博士からのメッセージ』
ドネラ H メドウズ
『温暖化論のホンネ ~「脅威論」と「懐疑論」を超えて 』
武田邦彦,枝廣淳子,江守正多
『教養としてのプログラミング講座』 清水亮

『HARD THINGS』は、シリコンバレーの起業家である著者が、未来の起業家への参考になるように、自分の経験してきた修羅場(そうとしか呼びようがないくらいヒリヒリします)を語っています。これからスタートアップで起業するひと必読であるとともに、経営者であること(の大変な側面)を体感できます。胃に穴があきそう。

『ウニはすごい バッタもすごい – デザインの生物学』は東工大での授業内容です。面白い大学の授業ってこんなだったなー、という感じがする楽しい本です。あと著者は毎回歌を作るクセがあるので、今回も昆虫のうた、ウニのうた、ナマコのうたなどが収録。

『ライフハック大全』は大全の名にふさわしい全集っぷりでした。ライフハックが日本に入ってきた初期からずっと最前線を走ってきた著者だからこそ書ける内容です。様々な範囲を網羅していると共に、今提供されているサービスのなかでこなれているものを紹介しています。

『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』は個別記事書きました。これは地域改革としてすごいとともに、お話としてはらはらどきどきの面白さですよ。
『異文化理解力』も個別記事書きましたのでここは省略です。

『ストーリーとしての競争戦略』。これも面白かったですねー。マイケル・ポーターとか、『ブルー・オーシャン戦略』とか『ビジョナリーカンパニー』とかお読みならぜひこちらも。ケーススタディ(日本企業)がきちんと入っているし、応用向けの戦略論です。

『ユニクロ9割で超速おしゃれ』は、30代以上の男性でごく普通~すこしおしゃれな服装をコストパフォーマンス良くそろえる参考にはすごくいいです。個人的に非常に使える本でした。ユニクロで買い物しましたとも。

『ワンオペ育児 わかってほしい休めない日常』は日本のワンオペ育児状況のルポと、個人レベルの対策を提言するものでした。
ワンオペ育児まっ最中のかた向けというより、これから育児を控える家族とか、そういう人の上司や社長や親戚や親世代といった社会全体に現状を訴える(「わかってほしい」)内容ですね。
現在ワンオペ育児中の方には先月読んだ『子どもが生まれても夫を憎まずにすむ方法』のが参考になるかも。

『温暖化論のホンネ ~「脅威論」と「懐疑論」を超えて 』はですね…。
温暖化現象の研究者、対策組織など活動している専門家(アル・ゴア『不都合な真実』の翻訳なども)、そしてアンチ温暖化対策の学者の対談です。なんというか、TVなどでは意見が平行線になって面白おかしく言い合いで終わりそうなところを、きちんとすりあわせを図っているところがスゴイです。

『経済学者 日本の最貧困地域に挑む―あいりん改革 3年8カ月の全記録』 鈴木亘

NHKのTV番組「オイコノミア」の西成地区再生を紹介する回を見たのがきっかけになりました。
もともと、専門の社会保障に関する著者の本を何冊か読んでいました。それが、地域再生(しかも大阪市の日雇い労働者集積で有名なあいりん地域を含む西成地区)に関わっていたと知ったので、せっかくなら著書でもっと詳しく知ろうと本書を購入しました。

綴られる著者vs大阪市役所のやりとり・駆け引きがめっぽう面白いです。「役所の論理」「役人の思考」で動く大阪市役所、それらがどういうものかを知り抜いており地域の実情に明るい同志とともに全力で立ち向かう著者、地域の関係者が多い故に巻き起こってしまう様々な事件。それらがもうこれでもかというほど後から後から沸き起こり、それに翻弄されつつも対応していく著者。ノンフィクションの物語として手に汗握る面白さです。
面白さだけではなく、地域のなかに豊かな人的資源があり、そこに問題解決方法がある程度見えている状態なのだとしても、それらを地方行政・住民(しかもかなり多層になっている)が合意形成して実現にこぎつけるのがどれだけ大変なのか。市役所のみならず、利害関係者が多数に渡る西成地区で合意形成をしていく困難さがありありと描かれています。
逆に著者の専門の経済学・社会保障論に関するお話は、これらの具体的な物語ではあまり触れられないので、コラムとして記載されています。ただ、関係ない話として挟まれるのではありません。こういった経済学者としての視点があったから、地域再生実行への障害・問題に対応することができた面があるのだろうと思わせるものになっています。

くりかえし著者が強調していることがひとつ印象に残りました。
それは、地方の問題解決には、地方行政機関と地元住民の間の信頼が欠かせない、ということです。
簡単に見えるのですが、これが地方自治の基本にして要なのだな、と本書を読み終わった後では強く感じます。
『(大阪市が多く行ってきた)行政が先に予算を組んですべてを決め終えてから地元説明を行う「いきなり調整方式」は、今後、絶対にやめなければならない。なぜなら、地域の人々と行政の間の信頼関係が完全に壊れるからである。まちづくりというものはそういうものではなく、さまざまな人々が幅広く議論を尽くし、おたがい折り合って物ごとを決めていく、そのプロセス自体が大事なのである。』
と本書内で著者は語ります。
著者が地域再生プランの策定に当たってもっとも大切にし、苦労してきたのがその「さまざまな人々が幅広く議論を尽くし、おたがい折り合って物ごとを決めていく、そのプロセス」であったことは、巻き起こる様々な事件を通して感じられるのです。

自分たちの住む地域の行政施策が、事前に全く知らされず、意見を述べる機会もなくいきなり決められてしまう。行政(ここでは西成区含む大阪市)が行ってきたこの行動が、地域住民の行政に対するアレルギーを生み出し行政不信に至る。
これは大阪市に限らずきっと様々なところで発生しているでしょう。そして、それらを克服するには、行政側は住民を巻き込んでまちづくりを計画すること、地域住民(利害関係が絡みあい一枚岩ではない)はそれらに誠実に応じること(行政への反対運動だけでなく、議論を経て落としどころを探る)が欠かせないでしょう。
地域住民(大阪市ではありませんが)のひとりとして、自分もまちづくりに参画する、という意思・意欲を持つ大切さに気持ちを新たにさせられました。

 

また、本書は、冒頭に書かれている通り、「改革を実行する過程の大切さ」と「人口減少にあわせた社会の縮小はどう行われるべきか」について、理論と実践の両面から様々な示唆を得ることができる本です。
これですが、理論は理論のみ、実践は実践のみで書かれている本というのはそれなりに見かけますが、理論と実践の両面、というのは珍しいです。これも著者が経済学者でありながら、突然、特別顧問という立場で地区再生の旗振り役として行政の現場に飛びこむこととなった、という希有な経験を語っているからこそです。
なぜ特別顧問として現場に飛び込むことになったのはか本書に詳しく書いてありますが、当時の大阪市トップたる大阪市長が橋下徹氏であったことが大きいです。良きにせよ悪きにせよ、橋下徹氏の様な行政首長はなかなかいないことは間違いなく、そういった意味でも、西成地区の地域再生は、薄氷を踏むバランスの上に成り立ったできごとだといえるでしょう。
最後に、著者の専門である社会保障関連著書もおすすめします。新書1冊という分量かつやわらかめの文章で読みやすいのでぜひ。社会保障制度見直しって待ったなしで迫ってきますから。

 

『異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』 エリン・メイヤー

とりあえず海外とやりとりする人は知っているとそうでないとではかなり差が出そう。副題には「必須の教養」とありますがまさに「これを早く知っておけば…!」と思える一冊です。

INSEADというインターナショナルビジネススクールで教授を務めた著者(アメリカ人)が編み出した、文化の違いによって生じるビジネスコミュニケーション上の困難を理解し、効果的に対処するための方法を説明しています。
理解・対処に使うのは、文化ごとに異なる分布を示す8つの指標。この指標を用いて「カルチャー・マップ」を描き、相手と自分のカルチャー・マップの8つの指標ごとの差異を認識し、個別の対処方を説明しています。8つの指標は以下の通り。

1.コミュニケーション…ローコンテクストvsハイコンテクスト
2.評価…直接的なネガティブ・フィードバックvs間接的なネガティブ・フィードバック
3.説得…原理優先vs応用優先
4.リード…平等主義vs階層主義
5.決断…合意志向vsトップダウン式
6.信頼…タスクベースvs関係ベース
7.見解の相違…対立型vs対立回避型
8.スケジューリング…直線的な時間vs柔軟な時間

本書はこの8つの指標、それぞれどんな国が直線図で見るとそれぞれどこに当てはまるかの説明をし、差異がある場合の対処方を、具体事例たっぷりに語っています。
このたっぷりの具体事例が、本書に生き生きとした印象を与えています。海外で仕事をしたことがなくても旅行ややりとりをしたことがあるなら、そうそう!とうなずきたくなる「仕事上でコミュニケーションが上手くいかなかったあるある事例」が沢山出てきて、指標だけだと分類的で味気なくなりそうなところを見事にカバーしているんですね。ちなみに日本はいろんな指標で結構極端なところにいるので面白いです。

また、注意として繰り返し触れられているのは、本書で紹介された傾向は国ごとに見られるけれどそれはあくまでレンジ(幅)があるということです。個人に対する場合は、相手をきちんと観察することが大切だと著者は何度も述べています。単に指標を提示、説明しておしまいとするのではなく、本書の提示する指標を本当に効果のあるものとするために、できるだけの言葉を尽くしているのだなと感じました。

この「なるべく明快に説明する、表現しきる」ということ自体が、指標1.コミュニケーションのローコンテクストの顕著な特徴(しかもアメリカ人はここに位置する)なのです。著者の行動自体が、本書の指標できちんと説明が可能とは、お後がよろしいですね。