2018年2月の読了本リスト

はい、今月は少なかったですね。わりと柔らかめの本のラインナップです。
(ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム は読みやすいけどページ数は多かったですけど)

『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議 』ブング・ジャム
『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム 』 赤野工作
『行こう、どこにもなかった方法で』 寺尾玄
『あなたのチームがうまくいかないのは「無意識」の思いこみのせいです』 守屋智敬
『されど愛しきお妻様』 鈴木大介

 

この10年を振り返ることで文房具がどう変わってきたかの概観を語っている、という内容そのものが面白かったです。
個別の文房具の特集本だと、あくまでその時点での最新製品を紹介する内容になります。それを歴史として総括してくれるというのはなかなかないと思われます。個人的にはAJ(アフター ジェットストリーム)という概念がすごく面白かったですね。あと、文房具を自前で調達するというのがリーマンショックから来ている(会社で経費削減が進み個人での文房具自前調達が進んだ)というのも、なかなかに興味深い。

 

初出は小説投稿サイト「カクヨム」ですね。同様の経緯で書籍化された「横浜駅SF」が結構おもしろかったので手に取りました。
未来からみたレトロゲームレビューなので、レトロといってもそれは現在の私たちにとっては未来。かと思いきや00年代や90年代のビデオゲームへの言及もあったり。
まさにSFのうまい設定が盛りだくさんで紹介されるお話でした。AI、サイバネ化、ネットワークとまさに未来の技術が籠められたゲームが発売されたとき、そのゲームに当時のゲーマー達はどう反応したのか、社会にはどんな影響が出たのか。それらがゲームへの惜しみない愛と鋭い観察眼を以て語られています。
うーん、なんだか上手くこの小説(?)のよさを語り切れていないですね…。とにかく、SF好きで特定のキャラクター描写がなくてもそれほど気にならない、というかたはぜひ。とにかくアイデアやそのSF的な掘り下げが抜群に面白いです。

 

 

 

二人の出会いと生活、そしてお妻様の脳腫瘍と著者の脳梗塞。著者は自分の脳梗塞時の症状と高次脳機能障害を通じて、お妻様の発達障害への「障害を持つ当事者としての実感」を得ることになる。そしてその後になんとか二人で生きていくため、発達障害の妻と高次脳機能障害の自分とで、上手く生活を回していくかにふたりで取り組む…というお話。
著者は「最貧困女子」や「振り込め犯罪結社」など社会のいわゆる下層のひとびとへのルポを書いてきています。医者ではなく、患者側の立場から、社会からこぼれてしまうひとたちに取材してきた経験を通してかかれた本書は、障害を扱う本のなかでも異色。しかしそれがゆえに一般読者にはとても有効だと思うのです。
『「家庭内の障害受容」の話でもありますが、それ以上に世の中のあらゆる「すれ違い夫婦」に届いて欲しい、どうしたらお互いに優しくなれるのかのメソッドを描いた』(日刊ゲンダイHPの著者ページから)というもの。
発達障害の関係者はまず読むといろいろと見る目が変わる思いができそうです。それと障害が特にない家庭のひとでも、他者にどうしたらお互い優しくなれるか、を知るために是非。

2018年1月の読了本リスト

今月の特徴…小説が少し多いことでしょうか。

『三尋木奈保 My Basic Note2:”きちんと見える” 大人の服の選び方』 三尋木奈保
『競争社会の歩き方 自分の「強み」を見つけるには』 大竹文雄
『藤野さん、「投資」ってなにが面白いんですか?』 藤野英人
『警視庁草子 上・下』 山田風太郎
『症状を知り、病気を探る 病理医ヤンデル先生が「わかりやすく」語る』 市原真
『専業主婦は2億円損をする』 橘玲
『ロード・エルメロイII世の事件簿6 case.アトラスの契約 上・下』 三田誠

 

中央公論新社でも何冊か新書を出してますが、どれも面白いし読みやすいです。いまならやはり一番新しいし、「競争社会」という言葉がとても響く本書がお勧めかな。

 

 

2017年12月の読了本リスト

こっそりと追いつくべく更新して参ります。
今回から少し形式を変えてみました。各書籍の書影の下にひとこと(くらい)のコメントを差し挟んでおります。

『戦う姫、働く少女』 河野真太郎
『関先生の世界一わかりやすい英単語の授業』  関正生
『サバイバル英文読解』 関正生
『サピエンス全史 上』 ユヴァル・ノア・ハラリ
『人生100年時代の らくちん投資』 渋澤健、中野晴啓、藤野英人
『家康、江戸を建てる』 門井慶喜
『歴史・時代小説 縦横無尽の読みくらべガイド』  大矢博子
『アルゴリズムが世界を支配する』 クリストファー・スタイナー
『HARD THINGS』  ベン・ホロウィッツ
『働く人の養生訓 あなたの体と心を軽やかにする習慣』 若林理砂

 

ざっくりと最近のメディア作品における働く女性(社会の中で戦っているともいえる)を論じてます。社会学の語り口なのであまり読みやすくはないのですが、うなづけるところが多かったです。
 

このときちょうど英語を勉強しなおしていたのでこの2冊を読みました
著者はスタディサプリENGLISH(動画)でTOEIC対策講師をしてまして、これがけっこう面白かったので本も読んでみました。特に『サバイバル英文読解』は、大学受験での英語長文の読み方を思い出させる一方、いろいろと目新しいこともあったので面白かったです。

いろいろな方面から大変面白い、との噂を聞いていた本書ですが、いやいや期待通りでありながらそれ以上でもありました。
上下分冊とかなりボリュームがありますが、この手の本としても非常に読みやすい文章なので、まずは少しだけでもいいので読む、という気持ちでいるととっつきやすいかもしれません。。
ホモ・サピエンスの変化は、他の生物のように遺伝子ではなくミーム(人類の文化を進化させる遺伝子以外の遺伝情報)。だからこそ遺伝子ではありえない速度での変化が可能だというのは、納得させられてしまいます。

著者メンバーで選びました。つみたてNisa制度が2018年1月から始まりましたし、投資を考えるまっとうな入門書として良いと思います。一押しはやはりウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 の第14・15章なんですけど。1冊読み通すにはそれなりに気合いが必要なので…。

これは、『江戸を建てる』を読んで、歴史・時代小説に行きたくなって『読みくらべガイド』へという流れでした。
『江戸を建てる』は、建築というより土木です。特に治水。人間も描いているんですが、江戸時代の治水工事・井戸の作り方がかなり詳しかった。こういったインフラ工事はいつの時代でもその時代の最先端の高度な技術が使われているし、その技術は現在にいたっても興味深いものであります。もう少しドラマティックな部分が多いともっと好きかも。。
『読みくらべガイド』は、連載コラムの単行本化ですが、紹介している冊数がすごく多いし、それらをいろんな切り口(時代だけじゃなく、料理とかほんともう様々)から紹介しています。やっぱり愛と知識がたくさんある人がしてくれる紹介ってのは読んでて楽しいですし触発されます。

ウォールストリートをアルゴリズムによるコンピューター取引が席巻するまでにどんな事があったのか、金融危機においてのアルゴリズム取引はどう評価されるのか、今後金融経済以外でどのようにアルゴリズムが活用される可能性が高いのかについて知見が得られます。中身には触れてないので特にプログラムの知識がなくても大丈夫でした。

ベンチャー経営とは、胃が痛くなる場面の連続である、ということが生々しく描き出されています。答えがない難問・困難に著者はどう対処したのか。著者の対応が正解ではないし、かならずしも一般論にはなるわけではない。でもとかく成功にばかりスポットライトが当てられやすいところ、貴重な実例を惜しげも無く披露している本です。
ベンチャー経営に関わったり、実態を知りたいと思うならぜひ押さえたい1冊かな。

この著者の本(とメルマガ)読んでいるので、最新刊を購入。著者は東洋医学の先生で、いろ著作もたくさんあります。いつも言うことが一環しているので、著作も同じ内容をどういう観点でまとめたものか、という違いになりますかね。