2018年8月後半の読了本リスト

8月は小説強化月間でした。前半でけっこう読み応えのずっしりした本が多かった反動です。

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』 川上和人
『大量生産品のデザイン論』  佐藤卓
『キミのお金はどこに消えるのか』 井上純一
『アルスラーン戦記1 王都炎上』 田中芳樹
『アルスラーン戦記2 王子二人』 田中芳樹
『アルスラーン戦記3 落日悲歌』 田中芳樹
『アルスラーン戦記4 汗血公路』 田中芳樹
『アルスラーン戦記5 征馬孤影』 田中芳樹
『アルスラーン戦記6 風塵乱舞』 田中芳樹
『アルスラーン戦記7 王都奪還』 田中芳樹

 

鳥類学者による鳥類学者の日常をつづったエッセイ集。一時期結構売れていたようで書名(書影)を見たことはありました。
今回読んだきっかけは、NHKラジオの「夏休みこども科学電話相談」ですね。少し前から著者の川上先生は「鳥」の担当として出演しております。「どうもー、川上です」という明るい名乗りと子供をほめながら説明していくスタイルでなかなかに楽しいですよ。
今年もラジオ出演されていたので(8月にはNHK教育「ヘウレーカ!」にも出演されていましたね)、本のことを思い出して読んだ次第です。本書の文体を見て、しみじみとラジオの話し方はもともとの著者のキャラクターに近いのだと感じました。
小笠原諸島でのフィールドワークの苦労など、珍しい体験(苦労話)もたくさんありますが、やはり面白かったのは、鳥類学者がする妄想のお話ですね。荒唐無稽なことを、知識で裏打ちして考えると楽しいのだ、という学問の楽しさをいろいろ見せてくれる本でした。

 

大量生産商品(「おいしい牛乳」、「クールミントガム」など)のパッケージを数多く手がけてきた、著名なデザイナーの著者が、自らのデザイン論を披露した本です。

本書の序盤で、デザイナーの世代論が説明されていて、そこがなかなか面白かったです。
著者が多く手がけてきた、生産商品のパッケージデザインという仕事は、著者よりも上の世代のデザイナーとは一線を画す仕事の仕方だった。日常の身の回り品(大量生産品)が綿密ににデザインされるということが、日本においてデザインという分野が広く浸透してきたことのひとつの現れだと、本書内では説明されています。
確かに今でこそ、デザイナーという仕事は比較的一般的なものとして浸透していると思います。でも1990年代くらいまでは、デザインといえばカリスマ的なデザイナーが一部のオシャレな製品に施す、対象者の限られたものもの、というイメージがありました。そこからの変化を生んだ立役者のひとりが著者だと思うと、なかなか興味深いですよね。

 

同著者の『中国嫁日記』がけっこう面白いので、本書も買ってみました。
マンガで、とてもわかりやすく、マクロ経済学と金融・財政政策の全体感がつかみやすい、初心者に非常に優しい1冊です。
きちんと情報を取捨選択したうえで、素朴だけど本質を突いた質問をしてくるユエさん(表紙に描かれている著者の妻、経済には全く知識なし)に説明をする、という形を取っています。
キャラクターがきちんと立った上で、読んだひとが納得できるよう、丁寧に書かれている本です。
経済理論と金融・財政政策のどれが「正しい」のかには諸説あります。もちろん本書に記載されている内容も、議論がないわけではないでしょう。それでも本書は、経済誌なり新聞なり他の書籍に手を伸ばせるようになるための、最初の1歩であったり、自分の持っている知識の再確認にとても役に立つと思います。

 

 

 

 

 

 

 

本シリーズ、実は荒川弘さんのコミックスから入りました。光文社版だと挿絵の雰囲気がコミックスとかなり似ているので違和感なく読めると思います。角川文庫のオリジナルは天野喜孝さん画なのでそれはそれで素敵なんですがかなり西洋ファンタジーよりの絵なのです。物語がペルシアをモデルにしているので、コミックス・光文社版のがイメージは近いかと思われます。
1冊が薄いように見えて(200ページいかないくらいです)、かなり読み応えがあって楽しかったです。群像劇が魅力的で安心安定したシリーズでした。
逆説的に荒川弘コミックス版がとても丁寧に作られていたこともわかりました。コミックスも今後ますます楽しみです。

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