2019年1月前半の読了本リスト

「50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ」 ティム・ハーフォード
「蟻と蜂に刺されてみた」 ジャスティン・O・シュミット
「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書」 落合陽一
「ロード・エルメロイII世の事件簿9 case.冠位決議(中) 」三田誠

良い感じにジャンルがばらけました。これくらい雑ジャンルで乱読していくのが好きなんですが、いつもそうはいかないですね。
従来利用していた本のリンクサービス(ヨメレバ)が一部サービス変更したため、試行錯誤で今回はamazonリンクを使用しています。
もっと書影が大きくてアフィリエイト感がなく、Kindle購入にもリンクできるサービスはないものでしょうか。ないものねだりでしょうか。


「50(フィフティ) いまの経済をつくったモノ」
ティム・ハーフォード

発明を50あげ、それらについて1つずつ説明を加える、オーソドックスな構成の本です。日経新聞の書評欄で見かけて買いました。
本書で特徴的かつ面白いのは、発明されるまでではなく、発明されたモノが「その後どのように世界を変えていったのか」に焦点を当てて描かれているところ。
発明から数年から数千年以上経った今現在でなければ分からない、社会的影響について考察されています。

その特徴がよく現れているのが、iPhoneの項目です。本書はiPhoneを、スティーブ・ジョブスの作ったモノとして紹介するのではありません。iPhoneは17の重要な発明を含んでおり、それらの発明すべてが、技術として成熟する過程でアメリカ政府の関与を受けていたのだとし、それらを説明しているのです。
このように発明(技術)が、はるかな過去から連綿と積み上げられており、いまの経済ができあがっている。私たちが新しい発明と認識しているものも、その積み上げの恩恵の上に成り立っている。本書を読み終わると、とても腑に落ちるようになります。

 


「蟻と蜂に刺されてみた」 ジャスティン・O・シュミット

2015年のイグ・ノーベル賞に選ばれた、ハチやアリに刺された痛さを示す「シュミット指数」。名前からもわかるとおり、著者が提唱者本人です。
本書ではその「シュミット指数」の詳細がわかります。巻末には全シュミット指数リスト(著者が刺されたハチとアリのリスト)も掲載。詳細読んでるとむずむずしてきます。
構成は、前半と後半に分かれています。刺針昆虫(刺す針を持っている昆虫をこう呼ぶのだそうです)全般の理解に役立つ背景知識や理論を紹介。後半では刺針昆虫をいくつかのグループに分け、グループ毎に詳しい説明をしています。

研究者にはよくありますが、著者もハチやアリをこよなく愛しており、刺されても噛まれても全くへこたれることなく、まだ自分の会ったことのない(=刺されたことのない)種を求めて世界中のさまざまなところにとんでいきます。先日読んだ「昆虫こわい」(著:丸山宗利)とほぼ同じですね。いや、国と研究種が違うだけで同じ昆虫学者なので、同じなのは当然なのかもしれません。
単純に、知らないことを知るのはとても面白くて楽しい、ということを思い出させてくれる本でした。

 


「0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書」 落合陽一

タイトル通り「学ぶ人と育てる人」のための教科書、でした。
社会人や大学生(学ぶ人、といって思い浮かぶターゲット)に向けた本でもありますが、 子供の教育方針についていろいろと語られてもいるのです。今まで著者の本で子育てに関する話はあまり見たことがありませんでしたが、これがなかなか面白い。
内容も納得できるし、適度に具体的で、適度に抽象的なので、育児方針として取り入れやすそうです。

たとえば、習い事をたくさんさせる代わりに、様々な家庭教師に自宅に来てもらう。ネットがあり人間関係が作りやすい現在では、習い事と家庭教師の金銭的コストはあまり変わらないのではないか、とあり目から鱗でした(実際に調べてみると、出張ピアノ講師のサービスなども割と充実しているようでした)。

 


「ロード・エルメロイII世の事件簿9 case.冠位決議(中)」 三田誠

いや、ここまで1エピソード上下巻でやってきたシリーズなんですが、ここにきて上中下3巻になりました。
真ん中の巻なので、最終巻の盛り上がりに向けて、 着々と下準備が進められています。中だるみ感がないのは、さすがといったところでしょうか。最終巻が楽しみです。

読書メモの取り方 -Kindleハイライト、Google音声入力のススメ-

1.読書メモを取る目的、大まかな構成

読書メモを取る目的は、読んだ本の内容や感想の記録を残しておくことです。

私には読んだ本の全部を記憶する能力はありませんし、ひどい時にはその本を読んだかどうかすら忘れてしまうこともありました。なので、読んだ内容の記録をなにか残したい、というのが最初の思いです。

ちょうどその時読んだ「読書は1冊のノートにまとめなさい」(著:奥野宣之)で提唱されていた、ねぎま式メモの形式で作成をはじめ、現在に至っています。
ねぎま式メモとは、おおざっぱにいうと「●本文抜き書き→★考えたこと、気づいたこと」というように、「客観」と「主観」を互いちがいに書いていくメモ方法です。

ちなみに、2010年から読書メモを取りはじめ、2018年末時点で765冊記録を取っています。タイトルとざっとした感想だけになっている時期も散見されます。。

ねぎま式メモを読書記録に使う場合は、「書籍本文の抜き書き」と「その抜き書きへの感想・コメント」を互い違いに書いていきます。

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2018年12月後半の読了本リスト

「ビジネスモデル2.0図鑑」 近藤哲朗
「あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続」 宮部みゆき
「TRUST 世界最先端の企業はいかに〈信頼〉を攻略したか」
レイチェル・ボッツマン
「ユーチューバーが消滅する未来」  岡田斗司夫

TRUSTが例によって分厚かったですね。一番分厚いのは宮部みゆきですが、小説は分厚くても問題ないので。

 

出版が2018年11月ですね。社会人必携のリファレンス用図鑑です。(図鑑なので自宅においてパラパラみるイメージ)
見開き1ページで1企業(ビジネスモデル)を紹介しており、本書を眺めるだけで面白いビジネスモデルを持っている企業を100個知ることができます。利用してみたいなと思うサービスもたくさんありました。近所の本屋で偶然見つけてよかったです。リアルな店舗はこういうことがあるからやめられません。

昨年は、「GAFA」「Amazon」など1つの企業(ビジネスモデル)について分析を加える本が出版され話題になりました。こういった本は、複数冊読むのにはなかなか時間がかかります。あまり自分が求めていたことが書いていなかった…というミスマッチが発生したりするとなお悲しいものです。
まず世の中にこういったビジネスモデルが既に存在することを知るためには、本書はとても良い入門図鑑です。
また、本書は冒頭で、ビジネスモデル図の切り口として「ソーシャル、ビジネス、クリエイティブ」という3つの観点を使うことや、具体的な図の作成ルールが丁寧に説明されています。本書内のビジネスモデルを読む手引きだけではなく、読者が今後自分で本書にあるようなビジネスモデル図を作成することができるようになっています。

図鑑として眺めるもよし、ビジネスモデルを作成して生かすもよし、応用方法がたくさんあり多くの方におすすめしたい本です。

 

 

タイトル通り、三島屋シリーズ5冊目です。相変わらずなかなかの切れを見せる個別中編が続きます。さらにシリーズ上の大きな動きとして、聞き手役が交代します。
宮部みゆきは本シリーズの他にも「人の業」と「怪異」とを結びつけた作品を多く発表しており、「人の業」をメインモチーフにした作品、「怪異」をメインモチーフにした作品の両方があります。本シリーズは「人の業」がメインに据えられており、本巻では特に冒頭の「開けずの間」でそれが顕著です。げに恐ろしきは人の業。

百物語がモチーフになっているので100話まで本シリーズは続けたい、と著者が別書籍掲載のインタビューで述べており、まだまだ続きが楽しみなシリーズです。

 

 

現在までの「信頼」のあり方と、今後について分析した本です。
「ローカルな信頼、大規模制度への信頼、分散された信頼」 の3つに分けています。そして現在、「制度への信頼」から「分散された信頼」への移行が起こっており、その具体例がトランプ大統領の台頭やブレグジットなのだと著者はいいます。
人が何を信頼するのかは近年大きく変わってきた、という感覚が私自身にもあり、信頼の歴史とその解説は面白かったです。後半部分のAIへの信頼、今後の未来予測は、前半よりも少し切れ味が鈍った印象でした。

ちなみに、サブタイトルは、最先端企業信頼攻略について述べているようにつけられていますが、あくまでこの手の本によくある詳細な具体例としていくつかの企業が取り上げられているだけです。 企業分析をしている本ではないので、その点はご留意いただければと思います。

 

 

ユーチューバーの話をするのではなくて、今後の社会がどうなるかという未来予測。「評価経済」など、この人の未来予測は意外と当たります。今回もなかなか面白い。 エンターテインメント、特に YouTube 関係に関しては具体的に踏み込んでいるので、その辺りに手を出している人には特におすすめしたい本です。

ただしエンターテイメント以外の事項は少し掘り下げが浅い印象です。本書はいろんなところで著者が話した内容をまとめているという作られ方をしているので、仕方ないのかもしれません。もっと掘り下げて面白い分析を加えられる著者なので、今後、本書内容を熟成させた新しい著作が出るのを楽しみに待ちたいです。