2019年1月後半の読了本リスト

「老いた家 衰えぬ街」 野澤千絵
「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」 ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド
「貧困を救えない国 日本」 阿部彩、 鈴木大介


「老いた家 衰えぬ街 住まいを終活する」 野澤千絵

前著「老いる家、崩れる街」は、都市計画や住宅政策をどう見ればいいか、実態は今どうなっているかというのを、 一般にわかりやすく説明していました。
本書はそこからより具体的なレベルに進み、新聞などでも目にするようになってきた「空き家問題」の実態を説明し、具体的な対応策を提示しています。

対応策は、自治体やNGOといった組織・政策レベルでやることと、 個人のレベルでやることとがバランスよく盛り込まれています。マクロとミクロ、いずれの立場で読んでも得るもの多くおすすめです。

防災・減災の観点からも、 土砂災害などのリスクが高く居住に適さない土地では、計画的に土地利用を止めていく ことも必要

この著者の言が印象に残りました。日本の近代人口増加の過程で、居住リスクが高い、洪水や崖崩れが起こりうる地域も、宅地指定し住宅を建てていたケースが結構あります。
また「防災・減災の観点での計画的な土地利用の停止」は、人口減少によりそもそも住宅が減っていく地域での、緩やかで住民にも受け入れられやすい対策としても価値が見いだせそうえす。どこの村や町でも、自分たちの集落や町をなくすことに、前向きにはなれないでしょう。でも自分の家族や近所の人が減る中で、防災の観点から、相続などを機会にリスクの低い所に引っ越しするというのなら、心理的なハードルはかなり下がるのではないかと思います。

 


「FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」
ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド

言わずと知れた(?)ベストセラーです。世界の見方や認識が、事実と異なる人があまりにも多いことに気づいた著者が、それらの事実を伝えると同時に、10の思い込みという観点から説明をしています。

本書は、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」の実践編、人間の持つヒューリスティクスを世界の認識という事実側から検証した本、 といえるでしょう。

本書冒頭の「チンパンジークイズ」で、自分の世界の認識が、いかに実態と異なるかを実感します。そしてその原因であるヒューリスティクスがどのようなものなのかをじっくりと追って行くのです。考え方が変わる、パラダイムシフトが起きた、そんな感覚を得られます。

さらに世界の状態と人間の性質について理解した後、つまり本を読み終わった後に、具体的に自分たちはどう振る舞うべきなのか。それについてもよい塩梅の抽象的に提示しています。それは「全世界レベルの事実を、正しく認識する。それに基づいて日々の生活を送り行動する」という大きな指針です。

Post Truthと呼ばれる今だからこそ、知っておきたい、読んでおきたい一冊です。

 

 

「貧困を救えない国 日本」阿部彩、鈴木大介

経済・社会政策の面から子どもの貧困を取り上げてきた大学教授と、「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場の取材を続けてきたルポライターによる、日本の貧困現状についての対談本です。

 

貧困は近年メディア等で報じられるようになってきてはいます。しかしメディアが報じる内容を受けた一般の認識と、二人の知る貧困の現場とは、まだ乖離が大きいことを、具体例や統計数値などを挙げながら指摘し、対応方法を忌憚なく話し合っています。
対談形式なので、知識があまりない側からしても読みやすかったです。

印象に残っているのは、貧困者に対する無理解・差別など、単にお金をあげるだけでは解決しない問題が、貧困者の周りにはまだまだ山積している、ということです。具体的な事例は、本書にたくさん挙げられているのでそちらを見ていただきたく。

ベーシックインカムの推進論のひとつに、お金をあげれば解決する貧困が、ベーシックインカムでは解決できるというのがあります。それは間違っていません。しかしベーシックインカムがあれば貧困対策は終わるわけではない。むしろ社会福祉としてはベーシックインカムが行き渡ったところでそこからこぼれてしまう人々をどう支援するかが求められているのだ、と強く感じました。

電子書籍を読む端末(Kindle paperwhite推し)

電子書籍を読むに当たっては、メインとサブ端末2つを使っています。今回はその詳細をご紹介。なんといってもKindle paperwhiteを強力に推しております。

メイン端末は、Kindle paperwhite(キンドルペーパーホワイト)第7世代 です。

機能は、この3つが特徴です。

  1. バックライト付き 
  2. 容量は4G(少ない方) 
  3. Wi-Fi接続 

1.のバックライト(内蔵ライト)は必須です。これがあれば周りがどんな明るさであろうが本が読めます。
2.の容量は、コミックを大量に入れると物足りないかもしれませんが、画像が少ない一般書籍なら100冊程度は軽く入るので問題ありません。 
3.のWi-Fi接続は、4G回線接続機能がないということです。私の場合、Kindle書籍自体はスマートフォンのブラウザでamazonサイトから購入することがほとんどで、回線接続がほしいと思ったことは全くありません。
ちなみにiPhoneのamazonアプリでは、Kindle書籍は購入できません。アプリから購入すると、AppleやGoogleにマージンを抜かれるので、それを嫌ってブラウザに誘導しているということなんでしょう。

私のKindle paperwhite端末は、2016年に12,000円弱で買いました。
一般書籍約100冊の収納+読書メモを取る時間・手間の短縮(詳細はこちらの記事)のメリットが大きく、私にはすごくいい買い物でした。壊れない限りは買い替える必要もありません。
現在は最新機種しか買えないようですが、セール時(2018年12月サイバーマンデー)には最新機種も9,980円まで価格を下げています。

 

電子書籍を読むサブ端末は、iPadです。
具体的には、個人的な大きさと重さ機能のバランスから、iPad miniを愛用していますす。

別にiPadでなくても、Kindleアプリが使えるタブレット端末ならなんでもいいと思います。主に固定レイアウト方式の書籍や写真が重要な書籍、コミックを読むための端末です。
固定レイアウト方式の書籍の場合、Kindleのメモ・ハイライト機能が使えないので、タブレット端末のスクリーンショットを取ることで、メモしたい部分を残します。
固定レイアウト方式の書籍は、数式を多数記載する数学関連の本や、レイアウトやデザインに関する本でときどきあるので、やはりあると便利なのです。
コミックをタブレット端末で読むのは、単純にKindle  paperwhiteよりも絵がキレイ(画面の解像度が高い、カラーで見られる)なのと、端末の容量が大きいからです。見開きで読むなら横、1ページ毎で読むなら縦と、なんとなく気分で使っています。

 

タブレットがあれば、Kindle paperwhiteで読める書籍も問題なく読めるのですが、それでもKindle paperwhiteはぜひおすすめです。主なメリットは以下2つです。

・タブレットよりも軽い(180g程度)かつハードカバーとほぼ同じ大きさ
・機能が少ないため、充電が1週間単位でもつ
これらのおかげで、外出するときなどに気軽に持ち出せます。
外出時の荷物はなるべく少なく軽くしたいので、このミニマムさと充電管理の簡単さはとてもありがたいです。長時間本を読んでも腕が痛くなったりもしません。

・本しか読めない
意外と重要です。スマートフォンだとついSNSを見てしまったり、通知が来てそちらに気を取られたりしてしまいがちなので、単機能デバイスのKindleのありがたみを感じます。