「子どもの人権をまもるために」 木村草太
「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」 橘玲
「OKR 」 クリスティーナ・ウォドキー
「一生楽しく浪費するためのお金の話」 劇団雌猫、篠田尚子
「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」 ちきりん
働き方、お金、住宅と、家政学分野の本が固まっています。いえ、私が好きなので固まっているだけなのです。


「子どもの人権をまもるために」 木村草太(編)
さまざまな子供の権利について、各分野の専門家16名が寄稿しています。専門分野に絞っての記載なので、どれも短いにもかかわらず鋭く内容が詰まっています。
この本のコンセプトは、「子供だった頃、こんな大人に出会いたかった」
親の立場から、子どもの権利をどう考えるか、どう守るか。
子どもとして、自分の権利として何が日本の社会で与えられているのかを知る。
本書はどちらの立場からでも読めるよう、読みやすい文章で構成されていますが、その内容はひとつひとつ身近でありかつ重みのあるものです。
中学生くらいの知り合いがいたとしたら、もし全部読み切るのが厳しいとしても、学校生活に関する部分だけでも、読んでみてほしいと思いました。


「働き方2.0vs4.0 不条理な会社人生から自由になれる」 橘玲
タイトルにもなっている、働き方2.0と4.0は具体的には下記の形です。
働き方2・0 成果主義に基づいたグローバルスタンダード
働き方4・0 フリーエージェント(ギグエコノミー)
日本が今働き方改革で実現しようとしているのは、働き方2.0。しかしグローバルスタンダードは既にその先の働き方4.0なんだ――というところから本書は始まります
「不条理な会社人生から自由になれる」と書籍副題で問題をかなり大きく立ち上げています。そして、そもそも働き方2.0、4.0といったバージョンはどういうものか、なぜそのような形で働き方が変わってきたのか、というのを、いろいろな論を緻密に組んで自説を構築していっています。こういった文章を書くときの流れは抜かりなく面白い著者で、本書でもそれは遺憾なく発揮されています。
「不条理な会社人生から自由になれる」方法もいくつか示しています。これさえやれば、という特効薬はないため、いくつかの方法を提案し、読者は可能なものを組み合わせて実行するという形になるのです。誠実に述べるならそれしかやりようがないでしょう。
個人的に面白かったのは、
テクノロジーによって生活がどんどん快適になるにつれて、すべての不愉快なものは人間関係からやってくるようになったのです。
というくだりです。
なるほど、生活環境がどんどん快適になるからこそ、人間関係が唯一最大、かつ誰にでも起こりうる不愉快(悩み)として存在感を増してくる。しかし個人が完全孤立して生きることも、まだ現実味はないでしょう。だとしたら今後求められるのは、人間関係の不愉快の発生を、極力抑えるように設計されたサービスなのではないか。そんなことを思いました。


「OKR 」 クリスティーナ・ウォドキー
前半がストーリー調、後半はセオリーの詳細説明という構成を取っています。本書全体が短めで、かなり読みやすいです。欧米のこの手の本はかなり分厚いものが多いという印象があり、ちょっと意外でした。
有能な人たちとモチベーションを上げて仕事をしていく手法論、でもありますが、なによりも自分が納得して仕事をするための方法論です。
ベンチャーの経営者は、会社を自分の望む方向に向かわせることができる。でも自分の向かいたい方法を見失う可能性も非常に高いんだな、と感じました。日本でいうならベンチャー以外にも中小企業の社長レベルでもありそうな気がします。
会社のビジョンを明確にし、チームがするべきことをきちんと実行していくために、限界までシンプルにしつつ要点を押さえることに特化した方法論。文章の質も情報量も読みやすいので、ビジネスの目標論として一読の価値ありです。



「一生楽しく浪費するためのお金の話」 劇団雌猫、篠田尚子
自分が浪費家だとはっきり認識していて、 なおかつそれをどうにかしたいと思う人に向けた本。何にお金を使うかはその人の価値観次第。それをまずちゃんと認めた上で、これだけは押さえておきたいという原則が示されているのが本書の特徴です。
家の片付け・収納界隈でも似たようなケースが発生するなぁ、と思いました。
家の中にどれだけの量のどんなものがどのように配置されているのが理想なのか、という問いの答えは、各人によって異なるはず。 それぞれの価値観によるわけです。
断捨離の本で提案されている状態、ミニマリストのお部屋が誰にとっても理想なわけではない。だからカウンターとして、こんまりメソッド(「ときめき(spark joy)があるか」という、個人の価値観に依拠した方法論)が、あれだけ受け入れられたのだと考えています。
同じように、本書は、社会的に理想の家計の形を示すことはしません。最低限押さえておくべきポイント・考え方を示した上で、様々な浪費家たるオタクたちの今後のマネープランを立て直すべく、質問に個別に答えていっています。
家計管理のうえで最低限守るべき原則を知るために役に立つので、浪費家はもちろん、そうでない人にも、おすすめできる本です。


「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」 ちきりん
住宅関係の本が割と好きなのと、 著者は独特かつ合理的な解説をするのが上手いので買ってみました。新築住宅を建てる、戸建てをリフォームする本は読んだことありますが、マンションのリノベーションというのは初めて。マンションならではの事項もたくさんあって 面白かったです。
著者もアピールしていますが、素人の立場から、こういうことがあったよということを書いているので、リフォームを依頼する側として非常にありがたい本だと思います。著者と同じように、分譲マンションでリフォームを考えているなら、まず参考に読んでみるといろんな失敗を回避できそうです。
意外だったのは、引越しが結構大変だということ、建築と移住のスケジューリングが一番の肝であるということですね。この辺りはリフォームに限らず、新築にも共通するのかもしれませんが。