『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』(大山旬)

タイトル通りの属性をお持ちの男性におすすめです。女性についてのアドバイスもありますが、ボリュームが少ないのでそこを覚悟してお読みいただければ。

本書の著者はパーソナルスタイリスト。シンプルでベーシックなアイテムで、好感を持たれるためのファッションを推奨してます。
なぜ「シンプルでベーシック」で「好感をもたれる」ファッションが目指すところなのか、の解説から始まりますので、やはり男性には読みやすいつくりかと思います。(これが著者が男性ゆえに自然に出てきた書き方なのか、編集側のアドバイスによるものなのかは、本読みとしては気になるところですが‥)

まず服を売っている店舗の分類から始めて、店員との話し方、具体的なブランドでのおすすめアイテムと選び方、試着の際のチェックポイントなど、実際に服を買うときに必要なことがしっかり書いてあります。
購入先として 推奨されているのも、UNIQLOからセレクトショップと割合に現実的なライン。
ファッションが好きなひとなら経験的に知っているけど、そうでないひとが尻込みしやすいところをとても丁寧にアドバイスしていて好感を持ちました。

ところで、こういったファッション指南本(服・靴・鞄・小物・髪型の全部そろったもの)って女性向けが多い印象です。
しかしファッション熟練度(?)の男女平均値は、男性のほうが低いのではないでしょうか。
ファッション熟練度が低いということは、それを上げる余地は、女性よりもむしろ男性が大きい。おしゃれなひとになりたいとはいわないまでも「好感をもたれる程度にふつう」「服装で損をしない」くらいになりたい、と思う人はむしろ女性よりも男性に多いはず。
なるほど、著者のお仕事「パーソナルスタイリスト」はそのニーズに応えているのだろうし、その延長として位置づけられるのが本書なのでしょう。

本書を読んで、昔お昼のワイドショー番組で見た、スタイリストさんがお父さんを格好良く改造する企画を思い出しました。女性でも、自分のファッションはなんとかなっても、メンズファッションを選ぶのは難しいですよね。本書でシンプルベーシックなメンズファッションの基本を押さえて、服に興味のない伴侶のクローゼットをちょっとずつ充実させていく…なんていう使い方もありそうです。
あ、男性向けのファッション指南としては服を着るならこんなふうに (1) (単行本コミックス)(私は未読です)なんかもあるみたいですが、本書は30代中盤以降、というか「お父さん」向けですね。これはもう本書のモデルさんを見ていただければ明らかです。

男性向け、を強調してきましたが、ボリュームは少ないとはいえ、女性ファッションの選び方にも役に立つと思います。特に私のような、ファッション好きではあるけれどエネルギーの大半をつぎ込むほどではない、コストパフォーマンスの良いおしゃれの楽しみ方をしたいという方はご一読を。